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DAY13 Sion
鬱蒼と生い茂った木々の間を無数の足音が駆け抜けていく。既に陽は落ち、暗澹たる闇が世界を覆い尽くす時の頃。 視覚から得られる情報はさほど多くない。しかし、俺の耳は確かにそれらを捉えている。肉を欲する獣達の息の音を。鋭い爪が土を抉る乾いた音と、強靱な体躯が風を切る鋭い音を。ここで止まれば確実に殺される。俺の本能はそう警告している。事実、彼らと戯れている時間など微塵も残されてはいない。そもそも、幾ばくの猶予さえも与えられてはいないのだ。 改めて確かめるように顔をあげる。俺の瞳は再びそれを捉えて、胸を掻き乱すような焦りが込み上げてきた。目の前にそびえ立っていたのは細長い光の塔。ヘキサグラムが完成したという紛れもない証だ。 それに気付いたのは数刻ほど前の事だった。耳をつんざく鋭い音と共にそれは姿を現した。明日には神殿に着くだろうーー少し前に交わしたその言葉が酷く虚しく響いて。何が起こったかなど誰の目にも明らかだったのだ。そして、月明かりが照らし出したカイの顔を見て、ゾッとせずにはいられなかった。眉間に刻まれた深い皺。醜く歪んだ唇。剥き出しになった歯。ギラギラと輝く大きな瞳。獣のような、などという言葉が無力に思えてしまうほどの険しい顔がそこにあった。咽の奥からうめき声を絞り出して、それを合図に走り出す彼。それは、今までずっと内にため込んできた「何か」を吐き出した瞬間に思えた。
どれだけの時間が経ったのだろう。ねちねちと絡みついてくる闇は感覚をも鈍らせる。それはわずか一瞬であったかも知れないし、とてつもなく長い間だったのかも知れない。黒い絵の具を塗りたくったような森が途切れ、その先にレファスタ神殿はあった。 「あれだ!」 そう叫んで足を踏み出すカイ。しかし、神殿まであと少しという所で立ち止まってしまう。暗闇に溶け込んだ異様な気配が、その先に進む事を許さなかったのだ。 肌に突き刺さる無数の視線。荒々しい息遣いの協奏。今にも飛び出さんばかりに土を掻く鋭い爪の音。このまま逃がすつもりはないらしい。そして俺達もまた、まともにやり合う余裕など持ち合わせていなかった。 「俺がいいと言うまで目を瞑っていろ。絶対に開けるんじゃないぞ。そして合図をしたら、何も考えずに神殿まで全速力で走るんだ。いいな?」 二人ともがその真意を計りかねているようだった。「しかし」と口を挟んでくるカイに「いいな」と威圧的に問いかける。もちろん抗う余地など与えはしない。それから二人の顔を一瞥して、空にヘカ<太陽魔術>の印を結んだ。アドビスで使ったものと同じ魔法だ。殺傷能力こそ持ち得ないが、活路を見いだすには十二分であった。 「太陽神よ、我に力を与えたまえ! ダェグ・ケン!!」 術の発動と共に、空を切る鋭い音が響き渡った。次いで、閉じた目蓋の裏側がオレンジ色に染まる。所々に緑色の血管が透けて見えて、それは、俺が放ったヘカが如何に強いものであるかの証でもあった。 「よし、いいぞ! 走り抜けろ!!」 暗闇を切るように走り抜ける足音が三つ。それに追従し得るものなど存在しない。代わりに、耳障りな唸り声があちこちに木霊していた。 呪われた饗宴から抜け出すべく、パックリと開いた扉から神殿の中へと駆け込んでいく。まず鼻についたのは生臭い鉄の臭い。マントで鼻を覆いながら、辺りをじっくりと見渡してみた。俺の目がとらえていたもの、それは至る所に描かれた魔法陣の数々。紅の光を帯びたそれらは強力な障気を放っている。そして部屋の奥には開いた扉が一つ。入り口と同じく、俺達を誘い込まんばかりにパックリと口を開いていた。 「どうするの? シオン」 これが罠である可能性は多分にある。しかし、他の道を選ぶ事に対するリスクもまた、皆無とは言い切れないのだ。 「行くしかねぇ……か」 その言葉を聞くや否や走り出すカイ。互いに頷きあうと、俺達も彼の後を追って走り出した。
神殿の最深部までは一本道で進む事が出来た。途中で迷う事もない、魔物に出くわす事もない、全てが不自然なまでに出来すぎていたのだ。そして水晶の眠る部屋にたどり着いた瞬間、あまりに凄惨な光景に思わず息を呑んだ。 「ひっ……」 蛙を握り潰したような声を上げるイリア。しまったと思いながら、半ば強引に、彼女の身体を引き寄せる。勢いよく飛び込んできた小さな身体。それは痛ましいほどにブルブルと震えていた。 「あ……ぁ………シオ……なんで………」 堅く抱き締め、背中を撫でてやる事しかできなかった。その行き先を求めていたのだろうか。彼女の指先は必死になって俺の背中を掻きむしっていた。耳元で響く嗚咽を聞きながら、その指先が俺の心すら抉っているように思えて仕方がなかった。 彼女が見てしまったものーーそれは血にまみれた無数の遺体。四肢を寸断されたそれらは、まるで人形の如くあちこちに散らばっている。そして部屋の中央には魔法陣が、血を吸って鮮やかな紅に染まっていた。その中心から天に向かってそびえたつ蒼白い光の塔。それを見た瞬間に全てを悟ってしまった。ここに魔物がいない理由を。俺達を最奥まで招き入れた理由を。 「全ては動き出した……そもそも俺達に抗う術など無かったという事か」 「どういう事です!?」 「解らないのか? ヘキサグラムは動き出した。俺達にそれを止める事など出来ない。奴はそれを知っていたから、だから最奥まで招き入れた。何も出来ないと知っていて。戻るんだ……今すぐに!」
DAY14
レファスタ以南の街マリス
肌に絡まりついてくる冷たく乾いた空気。うっすらと紅に染まった地平線。圧倒的な支配力を誇った闇はなりを潜め、そこに存在するのは、陽の光に護られた人間達の世界だった。 徐々に近づいてくる街門を見つめながら、ある一つの違和感が胸の内に起こっていた。即ち、何故彼らがそこにいるのかという事。例え遠くにあろうとも、それがアドビスの国旗である事を、決して見逃しはしなかった。このような辺境の地に何故彼らがいる? 曖昧模糊とした疑問は、輪郭を為しつつある不安へと、少しずつ形を変えて行く。酷く疲れていた筈だ。夜通し走り続けて、おおよそ思考というものが機能し得る最悪の状況にあったと、それを疑う理由などどこにも存在しない。しかし、俺の本能は、実体のない警告を発し続けていた。 「止まれ!」 強引に兵士達のバリケードを越えようとするカイ。無防備な彼の身体が鋼鉄の鎧へとぶつかっていく。砂を蹴る音、そして鋼鉄が奏でる鈍い衝撃音が響き渡った。圧倒的な力の差に崩れ落ちるカイの身体。しかし、それで諦める彼ではなかった。すぐさま上体を起こすと、歯を剥き出しにしながら、兵士達をギロッと睨み付ける。だがそのような抵抗も虚しく、武装した兵士達は、すぐさまカイの周りを取り囲んでいった。 「貴様ら何者だぁ? 神殿の方からやってくるとは……まさか魔物の仲間じゃねぇだろうな?」 「見て解らないのか?」 わざと嘲るような口調を選んでいた。カイに向けられた視線が、アドビスで俺に向けられていたそれに見えて仕方がなかった。 「あぁん? 何だと……?」 解りやすく挑発に乗る男だ。そう思いながら、懐に忍ばせていたミトの親書を突き出してやる。 それを見た瞬間、彼の表情は一変した。 「俺達は女王の命で動いている。確認しろ」 「あ、はいっ……失礼します………………も……申し訳ありませんでした! おいっ、その方をお離ししろ!!」 解放されたカイがぎこちなく立ち上がる。彼は土にまみれた服を叩きながら、もう一度兵士達を睨み付けていた。すっかりと萎縮してしまった兵士達は、ただ顔を伏せ、口を結んでいるだけだった。 「どうしたの?」 そこにやって来た一人の女。だが、明らかに周りの兵士達とは雰囲気が違う。人の目を引く豪奢な鎧を纏い、何人もの兵士達が彼女を取り囲んでいた。少しはまともな話ができる人間ならよいのだが。 「はっ……はい、この方達がこれを……」 うやうやしげに親書を差し出す兵士。女は声もなくそれを見つめ、納得したかのように、一度だけ頷いてみせた。 「これはお返しします。部下の非礼をお許し下さい」 「いや、それより何があった? 何故ここにいる?」 「オッツ・キイム全土に非常事態宣言が発令されました。現在、神殿周辺地域には厳戒態勢が敷かれています」 「その理由は?」 「魔物達がアドビス城及び城下を襲撃しました。それによってアドビスは陥落。今から27時間前の事です」 全身の毛穴が開いていくような、そんな嫌な感触が体中を伝っていった。 気分が悪い。胸がざわつく。筋肉が弛緩していく。頭の中が真っ白になって、何も考えられない。しかし、動揺する事を許されたのは、ほんの一瞬の間だけだった。 すぐ横からザッと砂を蹴る音が聞こえてくる。それに続くのは金属がぶつかりあう音と、驚いたような人々の声。ようやく視線を移すと、そこには、繋がれた馬にまたがるカイの姿があった。 暴れ狂う馬をよそに剣を引き抜くカイ。それを一振りして、馬を繋ぐ縄を切り落としてしまう。束縛から解き放たれた馬は甲高くいななき、前足を大きく振り上げた。 「「隊長!!」」 指示を仰ぐ兵士達の声があちこちから聞こえてくる。「どうするの?」と言わんばかりにこちらを見つめる彼女。眉間にしわをよせた表情は、困惑と言うより、あきれているようにすら見える。 答える代わりに首を横に振った。彼女は一度ほど溜息を吐いて、それからカイの方に顔を向けた。 「捨て置きなさい」 その言葉に兵士達が動きを止めた。それをいい事に、カイを乗せた馬はあっという間に走り去ってしまう。 「……頼みがある」 「どのような?」 「彼を追いたい。手を貸してくれないか」 「アドビスへ行くおつもり?」 「そうだ」 「…………」 「…………」 「……いいでしょう。ライザ、ミネルバ、こちらに来なさい」 「「はっ」」 思わず声を漏らしてしまった。その女と目があった瞬間、ライザと呼ばれた人間に関する、ありとあらゆる記憶が押し寄せてきたのだ。俺はこの女と会った事がある。ルハーツが追っ手をよこした時に、彼女はミトの命で、俺達の元へとやって来た。その命とはルハーツの手から俺達を護るという事。その意図はミトのそれとは異なっていたけれど。すなわち、俺を国家変革の道具としてしか見ていなかったという事。 「あら、お知り合いかしら?」 「いいえ」 俺よりも先にライザが答えていた。彼女は「まあいいわ」と言わんばかりにフッと微笑み、それから「この方達をアドビスまでお連れして」と付け加えた。
アドビスへと続く本道を走る早馬が二匹。ライザの馬には俺が、ミネルバの馬にはイリアが乗っている。 空は鬱蒼と生い茂った木々に覆い尽くされ、その僅かな隙間から紅の光が差し込んでくる。予想以上に時が経つのは早いらしい。誰も口を開く事のない静寂の中、唯一蹄の音だけが刻々と時を刻んで行く。何を話して良いか解らない、というのは確かにある。立場的に不適切だと考えるのも至極当然の事だ。だが、この静寂の理由はそのように単純なものではなかった。それにはもっと内面的な、心の奥底に根付いた理由がある。そして、その答えは互いの鋭い視線の内にあった。 互いの心の内に疑心暗鬼が渦巻く中、それが姿を現すのも時間の問題であったのだ。二人が次の分岐路で本道を外れた時、突然沸き起こってきたある疑惑が、頭にこびりついて仕方がなかった。 「何故本道を外れた!? こっちだと遠回りになるぞ!!」 「本道は崩落していて通行できません。彼がそちらに行ったならば先回りできるでしょう。それとも、引き返しますか?」 「あ…………」 「危害を加えるつもりはないと、前に言ったでしょう。貴方にどのような感情を抱いていたとして、随意に不利益になるような行為に及んだりはしません。もちろん利益になるようなことをしようとも思いませんが」 呆然と声を漏らした時だった。背後から飛び込んできたのは、大地を揺さぶらんばかりの爆音。ライザの身体にしがみついたまま、反射的に振り返ってみる。そこに見たのは、物凄いスピードで近づいてくる光の柱。紛れもなくレファスタのそれであった。 「何があったの!?」 「光の塔だ! レファスタの光の塔がこっちに近づいてきてる!!」 「ふざけないで! そんな事あるわけ……あっ!?」 「どうした!?」 「馬が言う事をきかない! くそっ!!」 「まずいな……おい、イリア! 聞こえるか!! イリアッ!!」 俺の声に反応して振り返るイリア。しかし、すぐに左手で耳を押さえると、首を横に振って見せた。風のせいで声が届かなかったようだ。もう一度後ろに振り返ってみると、光の柱は依然速度を落とすことなく、こちらへと近づいてきていた。まさにいつ巻き込まれてもおかしくない勢いだ。 ライザの背中にしがみつきながら、思い切り歯を噛みしめた。ガリッという嫌な音が脳髄にまで響き渡る。このままここにいればどちらかが、もしかしたら両方ともやられてしまうかも知れない。あいつを護ると約束したのに。もう二度と悲しい思いはさせないと誓ったのに。そのような思いがぐるぐると頭の中を回っていた。 鞍の上に立ち上がろうとしていた。しかし不安定な足場に加えて、つるつるした鞍に足をとられてしまう。反射的にライザの服を掴んで、両腿で馬の胴体を思い切り挟み込んだ。 「ちょっと! 何をしてるの!!」 「あっちの馬に移るんだ」 「貴方に出来るわけないでしょ! そんなことしても落ちるだけだわ!!」 「心配してくれるのか?」 「馬鹿を言わないで頂戴! とにかく無理なものは無理なのよ!!」 「……やってみせるさ。しっかり掴まってろよ」 左手で彼女の服を掴んで、そろそろとイリアの方に身体を向ける。続いて右手を後ろに差し出して、それから術の詠唱を始めた。 「ちょっと……馬鹿な事を考えてるんじゃないでしょうね?」 「近距離で発動させた術の衝撃波を使う。俺が移ったらお前も飛び降りるんだ。いいな?」 軽くジャンプをした瞬間に術を発動させた。術のコントロールに右手しか使えなかった事が仇となったらしい。不均衡な力の塊がぶつかってきて、上体が傾いたままイリアの身体とぶつかってしまった。 「きゃっ!?」 「うわっ!!」 勢いよく地面にぶつかる二人の身体。少し遅れて、すぐ傍を歪んだ金属音が通り過ぎていった。イリアの身体をギュッと抱きしめながら顔をあげる。 矢の如く走り抜ける光の柱。それはミネルバと馬の体を切り裂いて、真っ二つになった遺骸はドサッと崩れ落ちていた。それに驚いたライザの馬が大きく前足を振り上げる。為す術もなく振り落とされる彼女。それから、どさっと鈍い音が響き渡った。 「大丈夫か、イリア!」 「う……うん。でも一体何が……」 反射的に彼女の目を覆っていた。 「見るんじゃない」と囁きながら、もう一度彼女の身体を抱きしめてやる。 彼女は何も応えなかった。だが、その言葉の意味を悟ったのだろう。俺の服の胸元を握りしめると、か細い指にギュッと力を入れた。 「もう大丈夫だ、全部終わったからな」 小さな身体を抱きしめたまま、優しく髪の毛を撫でてやった。小刻みに震える彼女の身体。俺の胸に食い込んだか細い指。全てが酷く痛々しく見えた。 額に軽く口づけをして、それから彼女の瞳をじっと見つめる。俺の言わんとしている所を察したか、「いやいや」と激しく首を振ってみせた。 「大丈夫だ、すぐに戻ってくる。約束だ。それまで目を瞑ってここにいるんだ。何も見るんじゃない。いいか?」 少し遅れて、ぎこちなく頷く彼女。決して本心からではなかったであろう。それを免罪符とするのに、些かの罪悪感をも感じなかったと言えば嘘になる。しかし、ライザを放っておくわけにもいかなかったのだ。 もう一度イリアの髪の毛を撫でて、ライザの元へと向かっていった。途中で一度だけミネルバの方に視線を向けてみる。生々しい断面を曝した遺骸。周りにはどす黒い血だまりが出来ている。万が一にも生存の可能性はあり得ないという事、それは誰の目にも明らかだった。 「大丈夫か?」 「何とか……ね。彼女は?」 答える代わりに首を横に振った。きっかりと二度ほど。それを見てゆっくりと目を閉じる彼女。そして一つだけ溜息を吐いた。感情を悟られまいとしていたのだろう。微かに震える睫毛以外、それはうまくいっているように見えた。 「立てるか?」 「ええ。あっ……」 「無理をするな。肩を貸すから、俺に掴まるんだ」 「そんな事したら、あそこの彼女が妬いちゃうでしょ」 「こんな時に冗談か?」 「じゃないとやってられないわよ。んぁ……」 「いいから肩に掴まれって。ほら」 「…………」 「よし、何とか歩けそうか?」 「私の事はいいから。だから貴方達は先に行きなさい」 「馬鹿な事を」 「ふふっ……ウィザードに助けられるほど落ちちゃいないわよ」 「別に助けるわけじゃないさ。お前達が余計な脇道に入ったから道が解らないんだ。近くの村まで案内してくれてもいいだろ?」 「村まで、ね。食えない王子様だわ」 「お前に食われてたまるか。さあ、行くぞ。肩を貸すから掴まるんだ。いいな?」 「……解ったわ」
DAY15
アドビス以北の村 スサ
スサに到着した俺達は、真っ先に施療院へと向かっていった。魔法医こそいなかったが、このような所で医者を見つけられただけ幸運だろう。診断は捻挫。それ以外目立った外傷はないらしい。取りあえずは一安心といった所だ。これ以上俺たちにできる事はないだろう、そう思って施療院を出ようとした時、背後から呼び止める声が聞こえてきた。 「待って!」 「ん……どうしたんだ?」 「貴方の事誤解してた。それに酷い事をたくさん言ってしまって……本当にごめんなさい」 「構わないさ」 「これからどうするつもり?」 「さあな。でもどうにかして城まで行くしかないだろ」 「ここはかつて金鉱の村として栄えていた。採掘された金はトロッコを使って王都まで運ばれたと聞いているわ。既に閉山されて久しいけれど、トロッコはまだ残っている筈よ」 「そうか。ありがとう」 「私の方こそ……ありがとう」
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to be continued...
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